不良社員 うつ病とモラルハラスメント
9 月 06

少し多忙な日が続いています。
 
昨年末に一昔前の仕事仲間が練炭自殺しました。
3年ほど前に、くも膜下出血をやってから一般人並の生活ができず、私も周囲も比較的距離を置いた感じになっていて、なんか連絡が取れないなと自宅に見にいって発見したのでした。
 
彼はくも膜下出血をやったとき、過労だと言っていました。

おそらくそうだろうと思います。
くも膜下出血をやる3年ほど前に、仕事場を同じく過ごした時期が数ヶ月あり、彼に薬物系に手を出す心の隙間みたいなものは見受けられませんでした。
彼は長い時間を事務所内で過ごし、書類などを作成しながら、たまに気分転換でゲームなどをやっていましたが、同じ姿勢を保ったきり寝不足不健康って感じが多くの記憶です。
 
手術退院後、彼は左右どちらかに障害を抱えながら、病院からもらった薬を手に、これないと生きていけないからさ、とよく言っていました。
 
それがリタリンという薬を知ったときです。名前だけですが。
当時、病院でも比較的簡単に処方でき、彼のような患者には痛みやツラさから解放されるよと言って、少し多めに出していたようです。
 
その後、数ヶ月に1回会うというペースだったのですが、だんだん彼の顔つきが変わっていった気がしていました。
例えるなら、といっても、一般の方はあまり見たことがないと思いますが、覚せい剤、いわゆる「シャブ」をやっている人の初期に見られる変化に似ていました。
 
だんだん顔が研ぎ澄まされていく、良く言えば垢抜けた感じになる、目が鉄色の光というか奥ビカリのする感じなる、肌がカサっとなっていく、新陳代謝が悪いって感じで酸化された感じの体臭が出る、体質が変わり体型がアンバランスになる、手の先がたまに震える、目つきやしゃべり方が落ち着かない、などなど。
 
共通の知人にそのことを相談しました。
その共通の知人は、「だって、リタリンってシャブと同じ感じなんじゃないの?アンフェタミンだか何だかってのが入ってて」とサラっと言います。
 
「え、そうなの?じゃぁだめじゃん、止めなきゃ。」私は咄嗟に言います。
「でも、医者が出してるから大丈夫なんじゃないの?」と彼。
 
私は当の本人に次に会ったときに聞きました。
「どれくらいの量飲んでるの?それ覚せい剤と同じ成分入ってるらしいじゃん。」
彼は「そうそう、知ってる。でも、これないときついんだよね。え、俺そんなにおかしい?」と言います。
 
そこから先は特に突っ込まず、その後、彼の仕事先を皆で探し、そう頻繁にも会わなくなりました。
 
1年と少したった頃・・・
 
彼が連絡取れないと奥さん経由で共通の知人に連絡が入ります。
どうも、直近の様子では、あまり家に帰ってきていなかったようです。体調は相変わらずで病院からの薬のリタリンも常用していたと聞きました。
 
数日探し回り、想像を巡らせた私達は、警察署に何らか留置されている可能性も考え、片っ端から電話をしてみました。
基本的にこういうのは教えてくれるものではないのですが、用件次第によっては、知らんぷりして本人に伝えてもらえるものです。というか、そういう言い方をします。
 
翌日、本人から電話がありました。「覚せい剤で逮捕されている」と。
 
よく理解ができませんでした。
「リタリンじゃなくて、覚せい剤?それって警察の誤解なんじゃないの?
でも、そんなのすぐに判明されるか・・・逮捕されたのが○日だから計算して・・・」そんな話をしました。
 
逮捕された日から48時間、その時間が過ぎると検察庁に書類送検されます。
警察が調書をまとめ、被疑者が署名した書類を検察庁に送り、原告である検察庁が立件できるかを吟味するのです。
そして、拘留を続ける審判のようなものが逮捕後3日目にあたります。
その後、10日区切りで2回、検察庁での起訴が検討され、更なる取り調べが必要であれば拘留期限が延長されます。
 
大麻、覚せい剤などの類は全てそうですが、罪の種類は、所持、使用、売買、です。
それぞれの罪が独立しているので、2つ以上当てはまる場合は、被疑者の態度が悪いと再逮捕をされ、警察の留置場での拘留期間を延ばされる対象となります。
 
つまり、彼の場合は、所持だけの場合は、逮捕された日から早くて13日以内に起訴、普通で23日以内に起訴、所持使用の両方がついたとしても、普通なら23日以内に起訴。そこから保釈金積んで保釈申請、となるわけです。
覚せい剤の場合は、不起訴略式起訴(罰金のみ)はありません。
ただ、初犯であれば執行猶予付きになるので、起訴されれば保釈申請が通る可能性が高く、その後また拘留されることもありません。
 
知人間でいろいろな話が交わされました。

すぐに私選の弁護士を入れてあげよう
いや何を反論するわけでもないし医療費で困っている彼なのだから国選の弁護士でいいだろう
でも覚せい剤じゃなくて、リタリンで同じ反応出てるんでは?
だとしても、本人が病気のこととか言って、検察も病院に確認するだろう
そういう意味では私選がいいか
でも、リタリンにしても覚せい剤にしても、少し中にいた方が、体が健康になるんじゃないのか
まあ一回誰かがどこかで接見に行ってみよう
だいたい、保釈金いくらよ?
保釈金積んでも、出てきてまた同じことやって保釈金ダメになるんじゃないか?
保釈金積んで変わるのって1ヶ月くらいでしょ?だったら、彼に意図だけ伝えて中で健康取り戻してもらったら?
・・・

 
その後接見に行ったとき、彼は
「私選の弁護士をすぐに入れてくれ、リタリンしかやってない、あれないとじっとしてられない」と甚だ取り乱した感じでした。
「まあまあ、ちょっと大人しくしてたら、すぐに出れるんだからさ」と、変に刺激することなくなだめようとしましたが、
彼は、「売買まで疑われてるんだよね、そしたら俺実刑でしょ。」とテンパっています。
「そんなのやってたの?だったら仕方ないだろう。」
「やってないよ!」
そんな感じでした。
 
結局、彼の健康状況を心配し、奥さんの希望もあって私選の弁護士を入れずに保釈金も積まずに、60日後に彼はうらめしそうに出てきました。
神奈川県などにある更正施設に入れようか、という話もありましたが、それはヤメにし、奥さんに任せることにしました。
 
リタリンのことがニュースに頻繁に出た時期がありましたが、あれがこのときから1ヶ月後くらいのことです。
 
私は、
「え?リタリンってそんなに常習性が出るの?耐性がついてしまうの? もともと誤認逮捕の可能性もあるけど、リタリンの副作用で精神不安定で、つい覚せい剤に手を出してしまったって酌量の余地があるんじゃないの?」
などなどが浮かびました。
 
でもしかし、その後、結局、彼とは会えませんでした。
あまり連絡も取れず引きこもった感じで、私もそれほど積極的に彼の内側に入っていこうとしませんでした。
奥さんともあまりうまくいっていなく、別居していたようです。
冒頭は、その別居宅での出来事でした。

 


 
今でも考えるのですが、
彼は何をどう悩み、私と周囲は何を誤解していったのでしょうか。
事実はどうなのでしょうか。
リスクを考え、理屈付けして局面に対応しましたが、今でももちろん彼の本当の感情に確信を持つことはできません。
そして、理屈では片付かない「人」としての態度があれで良かったのか、どうあるべきか、今もこれからも自身に問い続けます。
 


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written by M.Asakura \\ tags: , , , ,

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